AI未病論

<2020.12.20~>

神奈川県が現在掲げる取組の一つに「未病」という概念があります。

今まで病(やまい)にかかったという判別は医師に「あなたは~病です」と病名を告げられた瞬間からでした。しかしながら現実に世の中に存在する病は明確に判別できるものでは無く、健康と病のあいだには無限に細かいステップが存在します。

治療や医療行為はこの「病」から「健康」に向かって1歩ずつ上って行かなければいけないものであるべきですし、このことは医師よりも患者自身やその家族が特に意識すべきことでもあります。

_/_/_/_/_/

・・話は変わり、最近の研究では生体内の細胞1個ずつの動きを特殊な顕微鏡を用いて動画で観察することが出来るようになりました。これらは人と同じく個性があり、この個性という多様性によって生物が世界に保たれていることが判ります。また、この個性は時間によって刻々と変化します。活発に動いたかと思えば、壁にくっついて休む場合もあります。細菌という生物が細胞1個で生きていることを考えれば、個性があることは何も不思議ではないことです。

また、たとえ細胞1個のみでも細胞内に存在する分子の種類は非常に多様だということを今までのデータが示しています。現在は1細胞ごとに、何の遺伝子が、何個ずつあるかまで次世代シーケンサーを用いると理解できるようになりました。そこから予測するとタンパク質や代謝物はそれぞれ3000~10000種類以上存在すると思われます。タンパク質や代謝物は遺伝子と違い増幅(コピーをつくること)が出来ないため、現状の装置では詳細を知ることは困難です。

1細胞を好きなタイミングで正確に拾えるようになると、ダイナミクスが判るようになります。今までの分子生物学の実験では最終結果だけを見ていることが多かったのですが、1細胞を拾えると変化の過程で何が起きているかが判るのです。

まず、標準的な透過型の位相差照明を用いて、顕微鏡上で細胞を培養し観察しているとします。免疫細胞などは活発に動き回り、形状がアメーバ状に変化したり丸くなったりを繰り返します。これらの細胞内で自分が見たい(存在量が知りたい)タンパク質を可視化するために、遺伝子組み換え技術を用いて、GFP(蛍光色素)を挿入します。こうすることで、自分が見たいタンパク質が細胞内で作られ蓄積すると光って見えるようになります。

≪位相差照明観察 → 5時間後 → ①蛍光色素が光り出す → ②すぐに拾って遺伝子解析(10000種以上の遺伝子)→ ①蛍光色素が光り出す → ②すぐに拾って遺伝子解析 → ・・・≫

このサイクルを1個ずつ何万個の細胞について繰り返し解析を行います。

この時にAIを用いて蛍光が光る直前の位相差照明観察画像を形状変化、諧調変化、速度変化の視点で記憶させます。

これを繰り返すことで、まず蛍光色素が光る前に位相差照明観察の画像だけで、その直後に細胞が光ることを予測するようになります。

それだけではなく、既にその直後の遺伝子解析も行っているため、将来的には位相差照明観察のみで、そのときにどのような遺伝子が発現しているかが判るようになる可能性もあります。

この技術を人に応用したらどうなるでしょう?

まず人を観察します。顔であれば、例えば目や頬、唇の色など、各部位の形状、色、動きを記憶します。その後、行動を見ます。トイレに行く、食事をする、など何でも良いです。ただし、その行動を行う直前に血液を少量採取します。そして血液は質量分析装置などで網羅的に各ホルモンの分泌や酵素、代謝物を定性・定量します。

これらを繰り返し、これらに関わった人がその後、どのような健康状態、疾病状態だったかを調べます。

そうすると、顔観察結果-血液検査結果-行動-健康・疾病の因果関係が判ってきます。顔をAI観察するだけで、体内のホルモン分泌状態や病のほうに傾いていっているかが判るようになります。判るようになるだけでは今までと同じになってしまいますので、その後の血液を採取し内的要因を知り治療に結びつける必要があります。

近未来的なことを想像しますと、血液を採取する