次世代小型エネルギーデバイス

地殻に存在する熱エネルギー源の地表放出

【太陽光と水】

地球上において地表付近の温度を決めているのは、太陽光量と水です。

1日のうちに朝・昼・夕・夜と日照(太陽光)の角度が変わるだけで数℃ずつ温度に変化が生じます。どの季節でも夜になれば昼より10℃近く気温が下がります。また、日本の真夏と真冬では日照時間に5時間の差があり、日照角度も違うため最高気温の差は25℃にもなります。それだけ太陽光の影響は大きいです。

それでは、太陽から届いているのは熱なのでしょうか?これは恐らく違います。熱が直接伝わっているのであれば、太陽に近づけば近づくほど熱くなるはずですが、太陽と地球の間は真空状態で熱を伝えるものが無いため、近づけば必ず熱くなるという事ではありません。

太陽からもたらされている熱源となるものは電磁波です。このうち主には赤外線(近赤外線~遠赤外線)がそれにあたります(図1)

図1 地球を暖めているのは電磁波

太陽光が物質に当たると分子運動を起こすエネルギーがもたらされ、その物質は熱を持ちます。この熱を持ちやすいか持ちにくいかは物質が持つ分子構造と比熱という性質により変わります。

夏場、晴天の昼下がりに地面のアスファルトを触ろうとしても触れないくらい熱くなっている時があります。この上を裸足で歩くことなどは出来ませんが、芝生の上はどうでしょうか?あるいは水たまりはどうでしょうか。同じように日照を受けていても物質によりそれぞれ温度が違うことが判ります。

道端の雑草でも良いですし、芝生でも良いですが、植物は日照を受けてもそこまで熱くなりません。それは内部に水を保持しているからです。

水は地表において最も大量に存在する物質の一つでありながら、比熱が非常に高いです。比熱が高いということは「温まりにくく、冷めにくい」性質を持っているということであり、【保温効果】があることを意味します。

地表に存在する物質に太陽光が当たり熱を持つと、どの物質でもその熱を大気中や、接触している他の物質に放出しようとします。

放出された熱が、そのまま大気から宇宙に向けて拡散・放熱されるかどうかは、大気の状態によって変わります。

夏場の強くて長い日照条件では、川や海も温められ、水が蒸発し水蒸気になります。水蒸気が大気中に増えていくことを湿度が高くなると言いますが、このように湿度が高い状態はいくらかの太陽光を吸収して更に熱を持ち上空へ上昇していきます。そのまま上空まで行くと冷やされて「雲」になります。

このようにして雲が出来上がると日光を遮り、地表や海面の温度上昇を妨げます。地球は太古の昔から、このような素晴らしいバランスでその温度を安定に保っています。

今度は冬場の弱くて短い日照条件を考えてみましょう。水が蒸発する機会が少ないため、湿度が低くなり乾燥します。乾燥するとどうなるのでしょうか?

冬場の気象予報では「放射冷却」という言葉をよく耳にします。これは乾燥した冬の夜に起こる現象で、日照のない乾燥した条件では地表の放熱が激しいということです。逆に冬の夜に雲が出ていると、そこまで寒くなりません。冬の夜に雲が出ている時と出ていない時の気温差は5~10℃も違います。

このように大気中の水蒸気濃度が高い場合や、雲が出ているときは放熱は起こらず、乾燥していると放熱が激しく起こります。昼間に雲が出て夜に晴れて乾燥する日が2~3日続くだけで、急激に気温が下がります。これらは水蒸気や雲が「保温効果(温室効果+遮熱効果)」を持つことを意味します。

この時、二酸化炭素の濃度は常時希薄でありほとんど変化はなく、また気温には影響を与えていないように見えます。

【トータルエネルギーメリット】

現在、日本で利用されているエネルギー源のうち99.5%以上を地下資源に頼っており、主に発電(火力・原子力)と自動車や工場の燃料(ガソリン・重油・軽油・灯油・石炭・ガス)に用いられています。

これらの資源は地下に長期間封じ込められていたもので、それを地表に取り出して燃焼することで運動エネルギーや熱エネルギーを得ています。原子力についても地下に存在したウランの核分裂反応から生じる熱エネルギーによって水を蒸発させて、その上昇気流でタービンを回し、モーターを回すことで発電をしています。

電気エネルギー・熱エネルギー・運動エネルギー・位置エネルギー・光エネルギーは可逆的です。

電気を流せばモーターは回りますし、モーターを回せば発電をします。

インクジェットなどで使用されているピエゾ(圧電素子)は電気を流すことでひずみ(変形)が生じますが、ひずみを押し込むと発電をします。

部分的な昇温や冷却で使用されているペルチェも電気を流すことで温度変化が生じ、温度を変化させると発電をします。

身近な照明となったLEDも照明部に光を当てれば発電をします。

この時に、稼働させる機器・器具の消費電力の効率がまずは重要となります。また与えたエネルギーに対してどれだけ電気を効率良く産み出せるかが、発電の重要な要素の一つとなります。

位置エネルギーは地球の重力から産み出されるエネルギーです。物体や物質は何らかのエネルギーを用いないと地表から上空や高所に移動することは出来ませんが、それを易々と行っている物質が1つだけあります。それが「水」です。太陽光などの熱エネルギーにより、水蒸気 → 雲 という形で高い位置エネルギーを得ます。その後は雨や雪として地表に戻り、川や地下水として流れ、再び海や地下に戻ります。

このような水の位置エネルギーを利用して水の落下によりタービンを回して発電しているのが水力発電です。

水力発電のように地球上で起こる自然現象から得るエネルギーのことを「自然エネルギー」と呼び、今後の社会では自然エネルギーによる発電の比率を増やすことが望ましいです。

太陽光を利用した発電も自然エネルギーの一つです。前述のとおり太陽光からのエネルギーは最も偉大で、地球に最大の影響をもたらしていますが、現在の太陽光発電が最適な方法とは言えないのが、太陽光パネル生産時および廃棄時の消費エネルギーが大きいことが挙げられます。

地球環境保全を本気で考え、環境への負荷を正しく評価するには、現在用いている二酸化炭素排出量を中心とする温室効果ガスだけではなく、「生産に必要とするエネルギー量」「生涯累積発電能力」「環境負荷量」「廃棄に必要とするエネルギー量」といった【トータルエネルギーメリット=TEM】を数値として表し、それらの設備寿命なども含めて評価することが必要になります。

従来、数値化といえばまずは「コスト=金額」でした。かかる費用に対してどのくらいの効率で発電が可能か?という短期利益のみを重視していた点は否めません。また、このことは発電だけの問題ではなく、あらゆる工業製品の生産と廃棄においても言えることですので、今後はコストに加えてトータルエネルギーメリットを世界に先駆けて考えると、長期的な視点において利益を見込むことが可能となることでしょう。

【フラクタル構造の応用】

とにかく、地球に与える影響で最も偉大なのは太陽でその次に影響与えているのは月の引力です。この2つの偉大な力がもたらす水の循環や運動エネルギーを利用しているのが、繰り返しとなりますが自然エネルギーです。

太陽光は光エネルギーを、風力は太陽光からもたらされた熱エネルギーを受けて水が蒸発し、それにより発生する風の力を、水力は蒸発により位置エネルギーを得た水が高所から低所に流れていく力を利用しています。潮力発電は月の引力を元にした潮の満ち引きや波を利用しています。

地球は小籠包(!?)のようなもので、中心に約6000℃の硬い鉄の核があり、その周りに約4000℃の岩石などが溶けた流体状のマントルがあります。この地球内部の熱エネルギーを利用しているのが地熱発電です。これを利用する場合も、地球内部の熱エネルギーを地表に取り出すことは極力避け、可能な限り地上に自然と放出している熱エネルギーを電気エネルギーへ変換するように留意する必要があります。

話は変わりますが、既に暖まった地球表面や海面を意図的に冷却することが既存技術でできるのでしょうか?

深海と表層面をかき回す方法や光エネルギーとして宇宙に放出する方法なども考えられますが、太陽光を遮断する方法が最も現実的だと考えられます。

雲は水蒸気が集まって作られますが、水蒸気が飽和しているだけでは水滴になることは考えにくいため、上空に存在する塵やほこりなどが核となっている可能性が考えられます。それであれば、上空で飛行機などから核となる塵を撒きちらせば、雲を広範囲に発生させることが出来て太陽光を遮断し、地球表面を冷却させることが出来るかもしれません。

しかしながら、人間の考えなど浅はかなものなので思い通りにいかないのが普通です。

それならまだ普段の生活でエネルギーを無駄にしている部分が多々あるのでそこに工夫が必要となります。

自動車1つをとってみても現在主要な発電は、旧来からのオルタネーターを用いる方法や回生ブレーキのエネルギーをハイブリットとして電気エネルギーに変えている方法ですが、今まで以上にエンジンの熱を利用する熱発電などを利用したり、例えば車の先頭部分に圧電素子を配置し風圧により発電する方法も考えられます。あるいは、サイドミラーに小型のタービンを配置し風力発電を行うことも可能となるかもしれません。

自然界における原理のひとつに「フラクタル構造」があります。

カリフラワーの仲間であるロマネスコなどがその典型例ですが、ミクロからマクロまでその形は共通しており、小さな円すい形状の集合体が、更に大きな円すい形状を形成します。

それ以外にもフラクタル構造は、煙の形状、海岸線の形状などあらゆるところに存在します。

あるいは、雪の結晶構造は自然界が作り出す最高傑作品ですが、この構造もフラクタルです。その生成過程で影響する物理学的作用と化学的平衡状態がこのような形状を作り出します。フラクタル構造が生成される理由は、それが最も効率的な状態であるからだと考えられます。植物の枝における分岐形状や動物の体内における毛細血管も同様にフラクタル構造を取ります。

枝の先にはそれぞれ均等の間隔で葉が付いており、葉自体も真ったいらではなく少しカーブを帯び、葉の縁はギザギザがあり、それぞれの葉が重ならないような工夫が自然のうちになされています。これは太陽光を早朝から夕方まで、どのような天候条件であっても最大の効率で葉に受けて光合成を行うためです。光合成で得たエネルギーをやはり効率よく根幹に届けるために細い枝から太い枝に集まるような構造になっているのです。

太陽光発電で用いるパネルは現状、シリコンウェハーを用いて一枚板となり上空を向いていますが、朝・夕や曇りの日は効率的に発電をすることができません。将来的にいつでも最大の効率を得ようとするならば、木の形状にして小型の割れない柔らかいパネルを木の葉のようにたくさん配置し、枝と幹が電線という構造が理想の形となることでしょう。

 

【日本と世界のエネルギー政策】

いずれにしましても、実を言うとあまり時間的な余裕が無いように思います。地球温暖化に関しましては様々な理由を付けて否定的な意見もありますが、暑さについては実感できるくらい既に変化が生じていますので温暖化しているのは確実です。

下記は日本海における海水温(水深2000m付近)の変化と溶存酸素率の推移です。

 

 

 

発電反応膜マイクロ積層型 メタノール水/エタノール水燃料電池