RCEPとC教

2つの基軸通貨とその先

(2021.11.4~)

ドル(米ドル)は世界の基軸通貨であり、これは第二次世界大戦末期にアメリカの主張や策略などが絡み合い決定したこととなりますが、現在先進国となっている国々で起こった戦後の世界的な経済成長や中間層の増加を見ると、1970年代までは資本主義経済が上手く回っていたように考えられます。米国の需要を満たす資源や製品をヨーロッパ諸国や日本が製造し販売することでこれらの国々は大きな利益を得ました。この当時は1ドル=360円の固定相場制です。現在1ドル=110円付近であることを考えると国内で300万円で販売している車を米国に輸出すれば1000万円で販売できるということになりますのでその恩恵は計り知れません。

しかしながら、1971年のニクソン・ショックと言われるマネーの取り扱いに関する大きな方向転換によりこの恩恵は徐々に減少し、それまでの利益分配の不平等が改善されて行きました。具体的には「変動相場制」が導入され「金兌換(きんだかん)」が廃止されました。このうち変動相場制については米国と諸外国との取引を不平等から平等にするベクトルなので良い流れだったと感じますが、金兌換の廃止はそれまでとは反対に諸外国が米国に恩恵を与えるものとなることに、ほとんどの人がすぐに気が付きませんでしたし、それは今においても続いています。

これは「米国はただで外国のものを手に入れられる」ことを意味しています。ただしこれはきちんと考えて進められれば悪いことではありません。このシステムはある一定の通貨発行制限と米国自身が自己を律するという道徳観が必要だと考えられます。

1995年頃から急激に増え続けた米国の対外貿易収支の累積額は1500兆円規模の赤字となり、これは米国以外の国では到底ありえません。米国の2019年の輸出額約275兆円に対して輸入額は345兆円に達し、その差65兆円が1年間の貿易赤字となります。貿易は基軸通貨で行うことが一般的ですので米ドルで行いますが、先ほどの65兆円もの貿易による購入で費やす資金を米国は自分たちの意思で創造することができます。米国は資源や材料、製品などをただで手に入れられる恩恵を受け、これに合わせて対米貿易で黒字額が大きい中国、日本、ドイツが貿易黒字として恩恵を受けます。お金が集まるところにしか集まらない格差の構図がここにも見受けられます。

資本主義において「投資」は最も大事なイベントです。設備投資、開発投資、原材料購入など、これが最もビジネスを行う上で重要となりますが、米国はこの投資するための原資を自分たちで作り出してきました。資本主義で重要となる公平な競争原理は一体どこに?とも思いますがこれが現実です。

米国の主な宗教はC教ですので、唯一神のもと人々は平等であると考えます。基本的に一神教は他の宗教には不寛容ですが、それを信仰する人々は平等であるという教えが一般的であるはずです。それなのに現代はマネーの呪縛により大きな格差が生じており、特にそれを拡大させているのは米国です。

トランプ大統領が2017年にTPP不参加を表明したときの理由が米国にとって不平等な条件であるということでしたが、そもそも上述のようにドルを創り出せる米国と全く同じ条件で貿易を行うということ自体が不平等なのです。このような背景の中、批准されたのがRCEP(地域的な包括的経済連携:ニュージーランド、オーストラリア、インドネシア、ブルネイ、フィリピン、シンガポール、マレーシア、ミャンマー、ラオス、タイ、ベトナム、カンボジア、中国、韓国、日本)と言われる貿易協定です。